人より軽い?家の重さと必要な地面の強さ
「家の重さは、人の重さ」とといったらビックリですよね。
そもそも家ってどのくらい重いのでしょうか?
考えたことはありますか?
想像もつかないですよね。
木造総2階建で、延床面積25.79坪(1階11.77坪+2階14.02坪)の住宅の場合、
屋根・壁・床・基礎・窓・UBや人等まで全部含めると、重さが「約69トン」ぐらいあります。
(積雪の際に屋根にかかる雪の重さは考慮しない)
アフリカゾウ(オス, 成体)約11.5頭分の重さ。
この重さ、どこで支えているのか?
家の重さが「79トン」としても、79トンすべての重さを1点で支えるわけではありません。
建物の上から下へ(屋根→2階壁→2階床→1階壁→1階床)と伝わって、すべての重さが基礎へ集約されていきます。
最終的には基礎から地面に「約69トン」という力がかかります。
愛家でも採用している「ベタ基礎」全体では、「点ではなく面全体」で支えるので、かかる重さは均等に分散されます。
基礎底盤の「縦1m ✖ 横1mの範囲」にかかる家の重さは「約1.7t/㎡」
これは普通自動車1台分の重さ。
では、続いて人間が両足で地面に立ったときに、足の裏にかかる体重を求めてみましょう。
まず成人男性の平均身長が170㎝。
適正体重は、BMI(Body Mass Index)を標準の22としたとき「63.58㎏」です。
これをもとに計算してみると・・・
ヒトの体の表面積は「約1.7㎡」になります。1)
藤本式-体表面積[㎡]=身長170[cm]^0.663×体重63.58[kg]^0.444×0.008883≒1.7㎡
このうち足裏の占める面積は、片足あたり「体表面積の1.01%」という研究報告があります。2)
今回は両足で立っている場合で考えるので「2.02%」
「縦1m ✖ 横1mの範囲」にかかるヒトの重さは「約1.9t/㎡」
両足の足裏面積=体表面積1.7㎡ ✖ 2.02%≒0.034㎡
体重63.58kg÷足裏面積0.034㎡=1870kg/㎡≒1.9t/㎡
【縦1m ✖ 横1mの単位面積あたりにかかる重さ】
家の重さ 約1.7t/㎡
人間の重さ 約1.9t/㎡(両足立ちの場合)、約3.8t/㎡(片足立ちの場合)
家の重さって単位面積あたりで比較すると、人間より軽いという事実。
家が沈まず・傾かずに建っているためには、家の重さを地面が支える必要があります。
計算してきたように、家を建てるのに必要な地面の強さは、それほど大げさな強さが必要なわけでもありません。
長い間、あなたの家を支えてくれる地盤のことを良く知るために、建物を建て始める前に「地盤調査」を必ず行い、
・地面内に弱い地層がないか
・地面の強さにバラツキがないか
建物を建てる土地の強さが、その建物を支えるのに十分な強さがあるか確認をしているわけです。
【参考文献】
1) 藤本 薫,et al:日本人の体表面積に関する研究 第18篇 三期にまとめた算出式,日衛誌23(5),443-450,1968年
2) 阿部 薫,et al:足底接地面積と足底全面接触面積との比較-体表面積に対する比率の検討-,日本整形靴技術協会雑誌(3),p17-20,2018.